つきあたりを右に

つれづれと思うままに綴る

台南のナイトマーケット

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その日の日程はレクチャーと一時間ほどのグループワークでした。講義の最中にひらめいたものが素案となり、メンバーの反応も良かったのでこのまま進める事に。翌日のプレゼン準備のために何を用意すべきか、どういうタスクで動くかだけでその日は終了。その後、台湾の学生に原チャでナイトマーケットに連れて行ってもらいました。

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ここのナイトマーケットは週二回開かれているようです。後日に行く台北のものよりは小規模ですが、目的は十分に達成出来るものでした。
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一見すると焼き鳥屋さんなのですが、よくよく見ると日本じゃあんまり食べない部位がちらほら。アヒルのしたとか鶏のとさかの部分とかを大喜びで食べさせようとする向こうの学生達…。アヒルの舌はカリカリしてました。
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これ、台湾に行ったことある人ならご存知かと思います。臭豆腐(しゅうどうふ)。豆腐を納豆菌と乳酸菌で発酵させたっていう凄いニオイのする発酵食品です。これを厚揚げしたものを賽の目に切り、食べる直前でもう一度揚げて食べるのですが、おいしいけど本当に臭い。次の日一日中とれないくらい。なんだろう、濡れた野犬のニオイを凝縮させたような…。日本で外国人観光客にくさやをすすめるような感じなんでしょうかね…。味は濃厚なうまみのある揚げ豆腐でしょうか。
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タピオカ入りミルクティーです。甘い、そして薄い。
これは台湾の食文化だと思うのですが、向こうの国は亜熱帯に属しているだけに、慣習的に徹底して水分を補給します。研修中も一時間に一本はパックされた水が配られました。サトウキビを戦後大量に生産していたのもあってか、日本では味付けの基本が塩であるように、向こうの味付けは基本が砂糖のようです(韓国は唐辛子ですね)。
また飲み物は基本濃いめで、氷を入れて飲む事が前提でボトリングされてるようです。だから出店のお茶はすっきりして飲みやすいけどコンビニでペットボトルの緑茶を買うと甘すぎてむせるなんてことに。

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射的とかパチンコとか、なんというか昭和の出店感がしました。

まぁ、そんなわけで全日程の中日を存分に遊びました。その後ホテルに戻って四時近くまでPCに向かってプレプレゼンを作るはめになりましたが…。

日本の[[デザイン]][[文化]]学

で、肝心の日本はそうした諸国の動きの中で「おらもそろそろ立ち位置変えるべや」という状態です。もともと日本のデザイン観ははじめ松下幸之助がアメリカから持ち帰ってきたモノなので経済ベースで考えられています。そのプロダクトにかける技術とそのコストや、それが売れるかのマーケティング戦略をここまでやってきましたが、今のアジアのような高度成長やバブルはもう望めない、「ほぼ横ばいの成長ながら、ゆっくりと醸成していく」欧州的な経済価値観の参照をせまられてたり。
そのなかで、デザインがややクオリアというか、形而上的な用法で使われ始めてきていると。
千葉大の講義は「B to Bにおいてデザインが注目されるのは、新しいビジネスモデルをつくってしまえるから」とのこと。

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筑波大の五十嵐センセのプレゼンはなんかみんな写真とってた。パロアルト研とかアランケイゆかりの人だから?関係ないか、アトム使ったからだな。

日本のデザインの方向性として一つは「思いっきり学術研究成果と企業開発技術を湯水のように使う」ってゆうのがあると思います。ただ、それはコストがかかりすぎて現実的でない。「i-unitはいつ市販化されるか?」を考えれば…
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「ヒトの感性を捉えるように」デザインするのがよろしいのでは?というのが筑波大の回答でした。

また、千葉大の小野センセイが言及した事ですが、AXIS、Pen、Casa BRUTUSなど日本にはデザイン雑誌がたくさんあります。コレは結構珍しい事で、デザインフェスタ、デザイナーズウィークのように「非デザイナーがデザインを興味対象としてみること」が日本のデザインの将来を占う重要な要素かもね、なんて考えたりしました。

アジアの[[デザイン]]社会学

日本以外のアジアは今が一番活きのいい時期です。IT産業はウハウハだし、工業に至っては欧米日本からのアウトソーシングだけで莫大な富を築けるし、高度経済成長とバブルがいっぺんに来たような経済状況です。
故に、社会構造と環境の変化が一度に起きてしまっているので問題が山積みなのです。それはデザイン教育にも大きく左右し、きわめて現実的な問題を、きわめて現実的に解決することが日本以外のアジアでは最重要課題としてあげられているのです。
(最近その状態を脱しかけているのが台湾の台北と韓国のソウルくらい)
そう考えるとヨーロッパや日本のデザイン観はのんびりして見えるのかもしれません。

後々に記述しますが、実際もっともワークショップでハイレベルだったのはまぎれもなく韓国とシンガポールの学生でした。実現性に関しては他の国とは決定的な差を見せていました。

アメリカの[[デザイン]]経済学

アメリカはデザインをコンシューマリズムに押し込んで経済価値としてのデザインを開拓した張本人であり、もっとも戦略性を求めているところです。そして経済的な意味で日本と中韓に何度も苦汁を飲まさせられているので、「デザインにビジョンがあるか」がすごく重要とされるようです。
iMacG3、iBookのあたりからのAppleのデザイン戦略を思い起こせば、デザインがいかに市場への刺激になるかをとことん計算して送り出しているかがわかるはずです。
また、物の本質をそのままにしつつも、全くの別モノのようにガワを変えてそれまで見向きもしなかった人たちからの関心を引きつけるのも得意です。
iPodiPhoneも「全く新しい」モノではありません。しかし全世界の人々が新たに注目を寄せる商品とされる事は事実なのです。

ヨーロッパの[[デザイン]]形而上学

イギリス産業革命→アーツ・アンド・クラフツ運動(ウィリアム・モリス)→ドイツ工作連盟からグロピウス→バウハウス
デザインの始祖であるが故にもっとも立ち位置が辛いとこと言えば辛い。高度経済成長は産業革命のあたりに既に終わっていて、都市再開発問題もそろそろまとまりを見せている。その中で「デザイン」というものが形而上学的展開をしているのが欧州の特徴と言えます。だからコンセプチュアルな提案として面白い事が重視されるんですね。
「これは新しいモノへの考え方だ!」って思わせるものをみんな造りたがる、と

台湾へゆくー各国の[[デザイン]]潮流とか

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五日目を迎えて研修は本格的なものになっていきます。
この日は各国の大学が、研究対象としてのデザイン研究の講義です。基本ゲスト大学のレクチャーが各校45分。
さすがに八時間連続講義は疲れてうとうとしてしまいました。

が、それで今世界各国が社会と文化と環境と産業の間にデザインがどういう立ち位置でいるか、どういう方向を目指しているかが何となく掴めましたよ。

台湾へゆくー国立海洋生物博物館

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四日目は一日かけて国立海洋生物博物館を巡りました。台南から高速バスで3時間ほどの距離にある世界で二番目に大きな水族館だとか。

もちろんデザイン研修の中の一環なので、この水族館にどんな技術が使われているか等の説明を受けたり。その中でメイントピックだったのは世界で初めてVR(Virtual Reality)水族館である。ということ。現実的に、既に絶滅してしまった海洋生物や深海生物を生きた状態で人に見せることは出来ません。
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そこでこのように3DCGでの仮想水槽で来場者に古代や深海の海洋生態を知れる、というわけ。確かに水族館でこうしたテクノロジーを使うのは面白いですね。手をかざしたり、振ると海藻が揺らせたりできたりするインタラクティブ性もあり。

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もちろん普通の水族館としても楽しめます。
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三つもトンネルがつらぬく巨大プールとか
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あとこういう本気でわけわかんないのとかあります。

伊達に世界で二番目の大水族館の為、見て回るのに丸一日かかりました。帰りのバス集合を待つ間、先輩は台湾の学生と千葉大の人とで水遊びしてました。元気だなぁ。まぁ最終的には絡まれましたが。おかげで帰りのバスは先輩は凍えていました。台湾ってホントに冷房キツいんですよね。

夕食はその地方で有名な海鮮料理店で円卓を囲んで。振り返れば他の大学の学生と結構話してた気もします。
翌日からは本格的にアカデミカルなデザインレクチャーとワークショップの詰めに入ります。