つきあたりを右に

つれづれと思うままに綴る

[[自閉症]]児童の言語学習を補助する「LINKX」ー[[オランダ]]・デルフト工科大学

今日は大学院の方に、オランダからはるばるデルフト工科大学とヘルシンキ工科大学の教授陣が親善研究セミナーということで訪問してきました。デルフトのPieter Jan教授には台湾のワークショップの際に話したことがあったので再会がてらセミナーの方をのぞきにいきました。

デルフト工科大学の研究紹介の事例として、挙げられたのがHelma van Rijn卒業研究自閉症の児童の言語学習を補助するデザインプロジェクト"LINKX"でした。

非常に感銘を受けたので紹介します

(意訳)

私は自閉症の児童が、どのように遊ぶことが好きであるかについて、言語を学ぶ方法について調査し、その課程で子供が単語とその意味を結びつけることが困難であることに注目しました。自閉症の子供たちがことばを周りのものから学ぶことはうまく出来ないか?。 これらの子供にとって、反復、ダイレクトフィードバックやご褒美は非常に重要であり、また、子供の持つ優れた記憶力で組み立てられるおもちゃ等が好きであると捉えました。


"LINKX"はコネクタとブロックによる遊具でコネクタにブロックを差し込むと、そのコネクタがつけられたモノの名前を発声するシンプルな玩具。また、ブロックにコネクタを挿すとその単語を一時的に記憶し、他のブロックに"ことばを移す"ことができ、ブロックの組み合わせにより、簡単な文法の初歩を学習出来る、という仕組み。


これまでにも色々な知育玩具はありましたが、どれも健常者なこどもであることが前提だったり、"LINKX"のような遊戯の単純化と反復性を真剣にデザインされたものは無かった気がします。被験者の三人の子供が夢中になってるのを見るに(といってもjakob君は途中で飽きてしまうシーンもありましたが)、デザインが人に出来ることの可能性の深さを見たような気がしました。

遊んでいる彼らは何も問題など持っているように見えません。自閉症を心理療法とか薬といった深刻そうな処方ではなく、「本人が楽しく遊ぶこと」で解決しようとすることがなによりもその子供たちにとってもいいことでないかな、と。これを馬鹿正直にやれるのはデザインが持てる力のような気がします。


LINKXはオランダのマスコミにもとりあげられ、デザイナーのHelma van RijnのテレビインタビューもYouTubeにあります

残念ながらまだ商品化にはまだ至っていないのですが、実現に向けてスポンサーを募集しているそうです。今後に期待ですね。

(関連リンク)
Helma van Rijn http://www.helmavanrijn.nl/
デルフト工科大学-"LINKX project" http://studiolab.io.tudelft.nl/vanrijn/LINKX[[]]