株式会社ドワンゴを退職しました
ニコニコ静画(電子書籍)と niconico for Windows 8 をよろしく / VoQn さんのイラスト - ニコニコ静画 (イラスト)
上の左の娘はiOS擬人化キャラがコモディティとして存在してないっぽいのでGUIのカラースキームから適当にでっち上げた娘です。ニコニコ静画(電子書籍)、niconico for Windows 8 をどうぞご贔屓に
去る、11月30日をもって株式会社ドワンゴを退職しました
12月からはまた新しい別の前線で戦う事になります。
えらく濃い日々を過ごさせてもらいました。公に自分の仕事が世に出たのはニコニコ静画(電子書籍)と Windows Store App の niconico for Windows 8 の2つくらいしかないのですが、どちらもかなりのバリューのあるプロダクトに根っこから関わらせていただいて、その経験は得難いものだと思っています。
(他にも幾つか案件はあったものの、そもそも自分の職務が研究職だったので公開はできず)
ニコニコ静画(電子書籍)
(サービス公開当時のキャプチャ)
これが自分が生涯初のWebサービスとなりました。そして、ドワンゴに入社するきっかけでもあり、一番時間のかかったプロダクトです。
プロジェクト立ち上げから、グランドからディテールまでのコンセプトワーク、基盤技術調査、ユースケース、シーケンス、プロトタイピング、フロントエンド設計と実装 Webサイトデザイン etc… バックエンドとiOSクライアント以外全域にまたがって担当していました
無論、コンセプトワーク以降で僕はエキスパートでもなんでもないので、より出来る人に預けながら自分が出来る範囲を狭めつつではありましたが、
(企画)「おーいVoQnここの文言変えて−」
『あ、はい。今CSSいじってるのでちょっと待って』
(Web)「おい VoQn ここのテスト通らねーぞ」
『えっ、あっ API 実装変だゴメン直す』
(Flash)「VoQn うごかないー」
『html テンプレ崩れてる!あ、Model いじったからだスマセン…』
(緑)「なんだこのjsはァ!!??なめとんのか!!!」
『…(泣きそうになってる) い、いま イラレいじってるから後で…』
(青)「CSSはナァ… こうやって書くんだよテメェ…?」
『…(まだ優しいけど今自分の周辺BL空間できてて辛い…)』
(赤)「テスト書けや!!!」
『すいません!!!!!』
なんか後半こんな感じでしっちゃかめっちゃかだったナァ… ちゃんと仕事キャパ考えて人に渡そうと、この件で学びました。
その後、書籍はリリースしてから一ヶ月まで産後のケアにお手伝い位に関わり、以後は引き継ぎして次の仕事に入る事になります
niconico for Windows 8
公開されたプロダクトでは最後の仕事となりました。
ニコニコ超デザイン-Metro死闘編-でも触れましたが、ニコニコ超会議直前になって「これ作って。あと超会議にもデモしちゃお?」言われ 「うおあうあうあうあー」とか言いながら GUI パーツ作っていた記憶がわずかにあります。
超会議の後からは本格的なアプリ開発の為に既存のニコニコ動画の主機能をどう Windows RT 環境でどこまで再現、再構成するのか議論しながら3ヶ月ほどグランドデザインをやり、後半はXAMLとC++で自分がでっち上げたデザインを実現するのに苦労していました。
僕が退社する前にWindows 8 アプリチームからは離れ、現在ストアに並んでいるバージョンが自分が最後にかかわったものです。実はデザイン面でも機能面でも、自分がイメージしていたものを再現しきれずに終わってしまったのは若干後悔しています。
現在 niconico for Windows 8 はプレミアム会員のみの利用可能となっていますが、これには色々大人の事情(検閲されました)もあるのと、もっと安定性とUIの充実や、内部システムの整理がついた後に一般会員にも利用できる展開が来るかと思います。まだまだβテスト版なのだな、と寛容してくださると助かります
ニコニコ動画は自分のインターネット生活と文化圏の世界観を狂わせた思い入れのあるサービスだったので、そのクライアント開発に携わるとは本当に思いもよらなかったし、そういう意味で、人生的にも大きい一つの出来事になっていきそうです
振り返って
…しかしまぁその場で技術覚えてやった、みたいなのばかりでしたね…入社前MySQLもPHPもXAMLもC++もやったことなかったんですよ。js も html css も手習い程度で仕事で使えるレベルではありませんでしたし。また、Web系(ドワンゴが本当にそう呼ばれる企業なのかちょっと怪しいと思えるけれど)の、周囲の刹那的すぎるスピード感はいい刺激となりました。
「そういや、なんで辞めるの?」
意外だと言われたりするのですが、きっかけはニコニコ超会議の現場を見てからです。あの場に多くのユーザーが来場してくださったのは本当に嬉しい反面、こう考えるようになりました
「これって、ニコニコのエンジニアリングの成せる業でなくて、ニコニコの文化にみんな惹かれているからだよな。じゃあ、もしかしてエンジニアリングやデザインって、これ以上はユーザーの邪魔になりうるんじゃないのか」と
書籍は新規ユーザーを獲得する目的もあり、ある意味「書籍ユーザーの文化圏」を自分の手でデザインするように設計しましたが、その超会議の後のniconico for Windows8 に至っては「今のユーザーが親しんでいた文化」を最大限 Windows Store App の UI 上に展開するよう設計しました(そもそも Metro Style App と呼ばれていたものに載せるだけで相当に印象と操作性が変わってしまうのを念頭に置いて)
プロダクトは、常にライフサイクルと世界の価値の変動の循環に合わせて手を加え、一新させていかないと死を迎えるものですが、今の自分のキャリアの浅さから、ニコニコのようなユーザー文化が強すぎる世界で「デザインが良いからなのか、単にみんな『ニコニコ』が好きだからいてくれるのか。デザインで失敗したのか、もうユーザーが『ニコニコ』に飽きてしまったからなのか」をこれからも判断できるとは考えられなくなったのが主な理由です
なので、一度、一人のニコニコユーザーとして、しばらく場を離れてみようと決意しました
2年と短い間でしたが、みなさんありがとうございました。
狭い業界だし、どうせまた会うでしょう。ズッ友だよ!